B型施設(成人した知的障害者)の作業1

B型施設での作業を紹介したいと思います。
 
 
比較的東京都内の作業所で多いと思われる、封入・封かん作業。
 
ポストに入っているDM系の封入、封かん作業となります。
 
この業界に入るまではこんな仕事があるのか!と驚きました。
 
 
 
この作業は大きく3つにわかれています。
 
 
①封入
 
封入物も1点しか入れないこともあれば、2点、3点~10点以上と多くの封入物が入っていることもあります。
 
ほとんどの場合、封入作業を1人では行いません。なぜならば1人で行うとミスが起こりやすいからです。
封入物を1人ひとりが一枚ずつ置いたり、また、能力が高い人は二枚三枚とまとまて置いてもらうような環境を作ります。
イメージとしたら車の工場風景のようなものです。
 
もちろん、その後に計りを使ってしっかりと枚数が入っているかを確認します。
あまりにも枚数が多い場合は、同じ重さの紙の場合も多いため、目で職員が確認することもあります。
この作業は比較的どの利用者の方も出来ることが多いです。
自分がおくべきものが何かをわかり、置いた後にどうしたらいいかがわかればこの作業を行うことはできます。
 
 
②封かん
 
 
この作業は一般の方でも比較的難しく、職員の方も少々慣れが必要な作業であったりします。
もちろんこの作業も利用者の方と一緒に行います。
 
最初は失敗が多い方でも施設の中で1年2年と経験を積んでいけば出来る方はいます。
私が勤めている施設では、自閉傾向が強い自分の世界にのめり込みながらも、
手先が器用な人は何時間でも続けて、この封かんの作業を行っていられる方が多いです。
 
また、ダウン症の方もこの作業を出来ることが多いようにも感じます。
比較的手先が不器用な方が多いイメージを私も持っているのですが、一つのやり方で何かができた時
それを「手が忘れることが少ない」のは、ダウン症の方の特徴なのではないかと最近感じています。
 
ここでも職員が最後に確認をします。
何が上手に出来ていて、何が上手にできていないかを判断するというのは難しいからです。
ニコニコとした顔でできたよと持ってきたものがあまりにも不出来なものであったりすることも多々あります。
 
 
③宛名つけ
 
最後に住所等が書いてあるシールを貼ります。
この貼る作業というのが難しくできる利用者が限られています。
なぜならば、
 
真ん中に貼ってください
 
という内容だとしたら、真ん中がどこだかわかりづらいからです。
空間認知能力が得意ではないからです。
実際にやってみると分かるんですが、私達はやってみても本当に真ん中の真ん中には上手く貼ることができません。
 
どうしてもシールが右斜めになってしまったり、真ん中よりも下に貼ってしまったりということがおきやすい作業です。
 
 
 
 
 
 
最後にこの封入空間の作業というのは1万円当たり3円や5円少ないときは2.2円だったりします。
それを施設全体で2.3日かけて5000点や8000点を行ない、そのお金を利用者の方の工賃(お給料)としてお渡しします。
 
施設に20人いるとしたら、一人あたりの、工賃がどれだけ少ないかが想像できるかと思います。
 
でも、そのような作業を行わないとお金を得られないという事実があるのだということを知って頂けると、ありがたいです。

知的障害者(B型)施設内での食事

施設内でご飯を食べる事は、朝昼晩の3回のうちの1回だけである。
だけど、その1回を僕の施設では大事にしている。
食べ方に関するマナーや食べ方などをよく声かけする。
 
というのもやっぱり食べ方っていうのはある程度人に見られる可能性が高い。
例えば、家族で遊園地に行く時に障害者にあまり接したことがない人はどうしても見てしまう。
なぜならば物珍しいからだ。
 
見られている時に恥ずかしい思いはさせたくはない。食べ方ひとつで損をすることなんてさせたくはない。
だからこそ、私達の施設では食べる時にも利用者に声かけをする。
食べる時ぐらい気を抜かせてあげたいと思う方もいると思う。
 
だが、世間の目は障害者に関わってる人達よりも冷たく、そして厳しい。
 
 
もちろん、施設の色によっては昼食の時、いくら肘をついていても、全部スプーンやフォークで食べていても何も言わない施設もある。
もしかしたら、ご飯を食べてる時に声をかける施設の方が少ないのかもしれない。
なぜならば、食べ方や昼食の時間は職員、利用者共に休憩時間となっている。
 
わざわざ職員が利用者に声をかける必要はない。
だけど、僕は本当にそれでいいのかと思う。
 
社会と繋がるためには、ある程度のマナーや作法を得ている方がうまくいく場合が多い。
もしも、知的障害者に関わったことのない人が、知的障害者とご飯を食べていたとしよう。
食べ方が汚かったら、どう思うだろうか。
 
ラーメンをいい年齢になってフォークですくっている人をどう思うだろうか
ご飯をスピーンで食べている人を見てどう思うだろうか。
 
僕はそんな細かいことで知的障害の方が悪い印象に見えることは避けたい。
食べ方って友達でも気になったりするもんじゃないですか。
仲良くなろうとしている人の場合もっときになるものじゃないですか。
本人達のイメージが悪くなるようなことはできる限り改善していくことが支援者が行っていくべき、支援者の大事な1つの仕事ではないかと考えている。

グループホーム入所への親(保護者)の考え方は何が正しいのだろうか

 グループホームへの入所って非常に考えてる親御さんが多いですよね。
入所時期に関して考えている保護者の方が多いかと。
確かに入る時期っていうのは保護者としてはいつにしたらいいのか考えると思う。
特に知的障害者の場合は、本人によって成長するスピードや適したタイミングは違う。
 
 入所時期の次に多い悩みとしては、ショートステイ等を経てグループホームに入るべきか、すぐにグループホームに入ってしまった方がいいのかのは難しい。
勿論、その保護者の考えというのも大事なんだけども、結局は本人がどんな気持ちでグループホームに行けるかが大事だ。
 グループホームに行かせるので、成功した例の一つとしてはショートステイ、3ヶ月ほどのステイを経験し、最終的にグループフォームを使う。この順番通りに使うことによってうまくいった人はいる。この流れで行くのが王道というか、市役所や社協社会福祉協会)が考えている流れなのだろう。確かに悪くはない。
だけど、実際問題としてグループホームの数は全国的には少ない。こんなことしている間にも、グループホームの枠が埋まるぞ!!!という、高齢者と同じような状況。
 
 僕はグループホームにいきなり入って慣れてしまう人も感覚としては少なくないと感じている。
おそらくグループホームに入って、しっかりと慣れることが本人にとっては大事なんですよね。
月曜から金曜まではグループホームで過ごし、土日は自宅へ帰る。
このルーティーンがうまくハマればショートステイ使うよりも早く、グループホームに本人が適用できると思う。とりあえず入ってしまう!学校と同じ!まずは入る!そこから考える!この考えは大事かと思ってるんだけどな〜。やっぱり、ショートステイを使うと逆に寂しさって出てくると思うんですよね。僕自身の話で恐縮ですけど、小さい時に、一人で東北から北海道のおじいちゃんおばあちゃんに会いに行った時、初めての一人旅で一日しか両親に会わなかったのにべそべそと泣いた記憶がある。そういう悲しさを僕は表現できるけど、お子さんはどうですか?と思ってほしい。
 寂しさって1人暮らしをしてしまうと、案外なくなっていくもので、まあいずれどこかで1人暮らしをする時、親元を離れる時っていうのは、泣いてしまう可能性が高い。特にそれは知的障害者の方だと多いと思う。だから親心としてショートステイを利用してからグループホームへという考えの方は多いのかもしれないけど、グループホームに直接入ってしまった方がいいのではないかと僕は考える。
 
 最後に一点。一番最悪なのは、親が離れたくないっていう気持ちでグループホームなどを使わない家族。色々な地域で言われていると思いますが、親の亡き後、を考えた動きは親がいるうちしかできません。親がいるうちに本人が1人で暮らせるような状況を整えていけることを応援しています。

ダウン症+自閉症:支援に幅を持たせる第3の選択

「やるの?」「やらないの?」
「行きます?」「行かないんですか?」
 
自閉症傾向の方は比較的おうむ返しの方が多い。
 
だから、支援者は自閉傾向の方に2択で質問するようにと言われる。(うちの職場だけ?)
 
私たち健常者は「行く?」と言葉をかけられたら
1:行く
2:行かない
 
等の選択肢を自ら瞬時に考えている。
 
その能力が自閉症の方は比較的弱い。だから、「行く」「行かない」と選択肢を言葉でしっかりと持たせなければいけない。
「行く」だけだと、自閉傾向の方は「行く」とすんなり答えてしまう。
 
 
また、障害は合併する傾向もあり、ダウン症自閉症の方だと、
自分の意思に背いた行動の時、フリーズしてしまうことがある。(とまって動かなくなる症状)
 
この時に無理やりに「●●さん!いきましょ、いきましょ!!」と声を弾ませても
動かないことが多いこと、多いこと!
 
どうしても動いて欲しい時、集団行動をお願いしなければ行けない時等、そんな時!
 
相手の意思を尊重しながらこちらの話も呑んでもらう方法が、
第3の選択を提示することだと思う。
 
 
「やる?」「やらないの?」「この続き3個やったら、次はこれやろう」
「行きます?」「行かないんですか?」「コンビニ行ったら、ここ行きましょうか」
 
この第3の選択を提示するだけで、以外とスムーズに動く。
 
コツとしては「相手が欲しい欲求を少ししたら、こちらのお願い半分きいて欲しい」の塩梅がベストだと思っている。
 
おそらく、動けていないダウン症の方も動いた方が良いことはわかっている。
だけど、最初の一歩って本当に難しいじゃないですが。何事も。
 
そんな時に、少しだけ相手のしたいことをするだけで次に動けたりする!
 
本当に不思議なくらい!
 
うちの施設では第3の選択を提示することで、スムーズな行動支援に繋がったケースが数個だがあった。
 
ぜひ、活用してみてほしい!

事業所・施設ごとの支援の違い

事業所により支援が違う。
 
親御さんはお子さんを施設に入所する際に支援の色もみてもらいたい!
これが合うのか合わないのかは、
会社の社風が合うのか、合わないのかと同じ!
 
 
どう違うとかというと、大きく二つ
 
1 利用者ができる限り好きなように生活できる支援
 
2 共同生活を重視する支援
 
どちらが良いのかはわからないけど〜
 
この違いは、施設に職員が多くいるか、施設が大きいのかが理由として大きいのだと思う。
「利用者ができる限り好きなように生活できる支援」は人と場所がないとできない。
 
大きな声が嫌いな人、ある物があると落ち着かない人、同じ施設の他の利用者と合わない人
 
意外とこの全てに対応できないことも施設職員はあるんです。
 
「共同生活を重視する支援」は裏を返せば、「利用者ができる限り好きなように生活できる支援」の状態が作れない施設に多いと思う。
 
だけど、これが間違いということではない。
僕たち、私たちも生活の中で「ストレス」を強いられる場面は珍しいことじゃない。
 
「ストレス」に弱いことも障害の一つだとは思う。
 
 
施設だから我慢をしなくて良いのか、施設だからこそ我慢を学ぶべきなのか。
 
 
入所する施設では何を目的としているのか、本当にその施設が保護者・利用者に提供したいことは何のなのか
 
事業所・施設間でも考えなければいけないが、保護者の方も入所の時には、その点も踏まえて施設見学等を行って欲しい。

合併症

知的障害には合併症がつきものだ
障碍者施設で働いてる僕としてはADHD自閉症の合併症はよく見られる症状だと思っている。
だが親からするとそれは当たり前じゃないように感じているのだと思う。
 
そういう点で言えば、施設の職員は多くの知的障害者を見ている。
 
ダウン症の子どもを持つ保護者の方で、うちの子は他のダウン症の方と違うんじゃないかと疑問を感じている方がいた。
病院の先生が話からお子さんは自閉症もあるのではないかということを伝えられたらしい。
保護者の方からしてみれば、それは普通ではないのではないか!?と思ったのだろう。
 
だが、最初の話に戻るように合併症は非常に多い。
まずはその事実を多くの方に知っていただくことが必要なのではないだろうか。
私達健常者でもADHDASDの疑いがある方は多くいる。
その傾向が弱いだけだ。
 
また一概にADHDASDと言っても傾向は多岐にわたる。
1時間や2時間見ただけではその方が本当に障害を持っているのかどうかを判断することはできない。
そう思うとより保護者の方には色々な知識が必要だと感じる。その障害があるかもしれないお子さんを多く可能性が高いのは保護者の方であることが多いからだ。
 
そして、一般市民の方にも知ってもらいたい。できる限りで良いから障害者にとって住みやすい国になるといいなー。
 
 

支援者として。声かけについて。

 

支援者として、声かけは基礎的であり、全ての支援の集大成でもあると思う。

 

なぜならば、声かけの際の相手の理解度・言い方、伝えるトーン、の2つがピシャッと合わないと理解してもらえない可能性が高い。

 

例を1つ挙げて、

 

挨拶をしないことに対する声かけを行う際のポイントを話していく。

 

 

1:相手の理解度・言い方

声かけする相手がどこまでの言葉を理解しているかを、声かけする側が理解しているかだ。

よく長ったらしく、何故挨拶をしなくてはいけないのかを話す支援者の方がいる。

ちょっと待て。それ理解していると思う?

その場合はほぼ自己満、またはここまで言ったのだから私はやることをやったと思っているタイプの人が多いと感じる。

相手の理解度にもよると思うが、B型で作業を行っている利用者は英検3級くらいの言葉の理解度で話すくらいがちょうど良いと思っている。

 

「挨拶は人と仲良くなる為に必要だよ。」

くらいが良い気がする。

それでも、少し長いかもしれない。

 

マナーだから、社会人なら当たり前とか、もうその言葉で分かっていたら、そもそもB型事業所にいないだろ!と突っ込みたくなる。

 

 

2:伝えるトーン。

 

感情に任せて言う人。気持ちは分かります。

それに、案外その方法で聞いてくれたりするんですよ。何故なら怖が割れているから。

脅しですよね。脅し。 気持ちが伝わったとかじゃなくて、9割方そういう時は脅しになってしまっていると思う。

 

いかに気持ちに余裕をもって伝えることが大事だよなーと思う。

外国の人と話していたり、海外ドラマ見てても怒っているのか、伝えようとしているかは声のトーンや顔の表情でわかる。それと同じ。

 

どれだけ心に余裕をもち支援を行うかは重要だと思う。